mittsuの日記

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(評・舞台)国立劇場「文楽五月公演」 住大夫の花道、温かな余韻

http://www.asahi.com/articles/DA3S11149914.html

2014年5月22日16時30分

 文楽界を牽引(けんいん)し、浄瑠璃の情を追い求め続けた竹本住大夫。「文楽五月公演」昼の部で、68年の芸道をしめくくる引退狂言「沓掛村」を語っている。

 主従を巻き込む運命に翻弄(ほんろう)される心のひだを、きめこまやかにすくい取る。先代の亡父も最後に語った難曲だ。

 病を経た住大夫の声は一段としわがれ、込める力も以前通りとはいかない。だが長年かけて極めた息や共鳴で、自在に操る豊かな音(おん)は、端役にいたるまで目に浮かぶほどくっきりと、人物の像と心を描き出す。

 老母のため息と涙、息子の逡巡(しゅんじゅん)と激情。揺れ動く思いへの共感は、その人物が歩む人生の厚みを背後に感じられてこそだろう。詞と詞、節と節をつなぐ間は、語る大夫の人生観や人間観をも映し出す。住大夫の語りには性善を思う光明が宿り、切ない物語も、醸す余韻は温かい。

 幼い与之助を戦後の苦楽を共にした簑助が遣う。住大夫の渋いが童心宿る声と、絶妙に愛らしい人形の動きが溶け合い、幼子の体温があたたかく息づく。文雀の老母と与之助の慈愛あふれる語らい、大夫の変化も呼吸も知り抜いて応える錦糸の三味線。文楽の三位一体を雄弁に示し得た花道なればこそ、わき上がる万雷の拍手と思う。

 前は文字久大夫・藤蔵。続く坂の下の段も上演。他に「卅三(さんじゅうさん)間堂棟(むなぎの)由来」「増補忠臣蔵」。

 夜「女殺油地獄」油店の段は咲大夫・燕三。じわり重なる不吉な予兆、不出来な子を思う親の愛。丁寧に積み上げた情景と心情の残像が、最悪の選択へと突き進む十代の暴走を際だたせる。与兵衛は勘十郎。髪を乱し和生のお吉を追う姿に狂気が宿り、つっとすべれば、ぬらり照り返す油が見えるよう。

 「鳴響(なりひびく)安宅新関」は弁慶を英大夫が語り、玉女が遣う。気迫と爽快感に満ちた追い出しだ。(西本ゆか)

 26日まで、国立劇場小劇場。

なんとも素晴らしい舞台を想像できる。

次の時代の
三味線は清治師、人形は勘十郎師、玉女師、はたして大夫は、、