奇才・若冲画、精密複製へ 上京・相国寺 4年後に完成
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「奇想の画家」と言われる伊藤若冲(じゃくちゅう)(1716−1800)の代表作「釈迦(しゃか)三尊像」(三幅)と「動植綵絵(さいえ)」(三十幅)の精密な複製に、相国寺(臨済宗相国寺派大本山、京都市上京区)が取り組んでいる。全三十三幅は今月上旬まで相国寺の承天閣美術館で開かれた「若冲展」でそろって展示され「120年ぶりの再会」とすごい人気を集めたが、今後、一堂に公開されることは「今世紀中はない」とも言われている。相国寺はすべての複製を4年後に完成させ、一般公開する予定だ。
「釈迦三尊像」と「動植綵絵」は京都生まれの若冲が相国寺に寄進した。もともとは三十三幅が1セットで、正面に釈迦如来、両脇に文殊菩薩(ぼさつ)と普賢菩薩、さらにその脇に動物や植物が生き生きと描かれている。相国寺では観音さまに罪をざんげする伝統儀式「観音懺法(せんぼう)」で掲げていた。しかし明治22(1889)年に「動植綵絵」が皇室に献上され、以後、宮内庁三の丸尚蔵館と相国寺に分けて保管されてきた。
複製品は京都市中京区の美術印刷「便利堂」(中京区)に発注。等倍のフィルムで撮影し、顔料を多く含むインクで木版画のように1色ずつ手作業で色を重ねる「コロタイプ」と呼ばれる印刷技術で精密に仕上げる。自然な濃淡表現ができるという。すでに宮内庁の許可を得て作業を進めており、釈迦三尊像の複製画は完成。相国寺に納められた。
お寺によると1枚700万円以上の経費がかかる。全三十三幅の完成後は年に1度は公開。22日間で12万人もの入場者を集めた「若冲展」を再現する。また「観音懺法」で掲げる計画もある。
相国寺の有馬頼底住職(相国寺派管長)は「釈迦三尊像と動植綵絵は三十三面そろって初めて意味がある絵画だ。しかし本物のそろうのは今世紀中はないと思う。高い技術で複製し、少なくとも年1度はみなさんに見てもらいたい。コロタイプの技術維持にも貢献できる」と話している。
すばらしい。