mittsuの日記

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東京2月文楽公演など

突然、空き時間が出来たので、行けるうちに行くことに。
予算と時間の関係で目的の2部のみ

その前に前々から行かなくてはと思っていた靖国神社へ、
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P1030930 posted by (C)お寺しゃしん
色々パワースポットなどいろいろ言われているけど、
靖国より一人の人間としての自覚、力を頂けるところはないと思う。
政治的な云々は、まず行った人間が一人一人個人で感じて考えてみたらいいと思う、
どんな人間でも、何であれ一度は、行ってみる必要があると思う。




そして国立劇場へ、昨年からうかがっていた、源大夫、藤蔵襲名案内ポスターが、

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P1030935 posted by (C)お寺しゃしん


何ともう梅も咲いていた。
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P1030931 posted by (C)お寺しゃしん


演目

<第一部>11時開演

 芦屋道満大内鑑(あしやどうまんおおうちかがみ)
    葛の葉子別れの段
    蘭菊の乱れ   

 嫗山姥(こもちやまんば)
    廓噺の段<第二部>2時30分開演

 菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)
    道行詞甘替
    吉田社頭車曳の段
    茶筅酒の段
    喧嘩の段
    桜丸切腹の段


 <第三部>6時開演

 義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
    渡海屋・大物浦の段
    道行初音旅

2月公演はうっかり発売日を逃したら、希望公演の土日はもう全部埋まっていた。。
昨年の4月公演の失敗から、とにかく早めがいいということで開幕3日目の初平日の月曜日に向かう。
PM2:30分から、1部のお客さんが出られる中に、演劇評論家の水落潔先生がおられた。
自分は2部だったが、1部は切場は2つあったり、嫗山姥が珍しかったりで注目だったのかもしれない。


2部の切は住大夫さんで、桜丸切腹、、自分のような、にわか文楽ファンでも、桜丸切腹と言えば、
近年DVDでも出た兄弟子越路大夫師の引退公演演目、比べるわけではないもののやはり何か感ずるところもあるもので、
逃すことはできない。
住大夫さん自身も言われているように、近年の演目は最後のつもりで語らているということで、
やはり、平日であろうと何であろうと必ず聞いておかなければならない公演になる。


大体、菅原伝授はいろいろな音源が出ているもので、それと比べて聞いてしまうが、
特に車曳あたりは8世綱大夫、山城少掾の音源映像が出ていることもあって、
全体的に、頑張っているな、、という批評的な見方から抜け出せず、
そんな状態のまま住大夫さんの桜丸切腹に、、
盆が回ると同時に、会場がピーンとした緊張感に包まれる。
出てこられるときからも息遣いが荒く
正直なところ体力的な問題が大きくもあると思われ、
錦糸さんの表情から見ても
なにかわずかに悲壮的なものも混ざってそう感じているのかもしれない、


しかし、始まってしまえば今までのそれとは全く違う空気が一変に会場に包まれ、
全体がグッと物語の世界に引き込まれる、
これは、やはり慈愛に満ちた響き、物語の深い理解からの表現、長い間に培われたその技術からであり
年齢的にみれば往年よりも迫力は落ちているもののそれは、枯れて落ちているものでは全くない。
桜丸の決意であったり、白太夫の心であったり、八重の悲しみは
文字で自分が読むだけでは得られない情を伝えるという大夫の完全体に近いものを感じられた。


近年色々聞いてきた中で、もっとも印象に残る公演の一つであるのは間違いない。


大体、昔の名人が言うには、演目中に拍手をさせる余裕を与えるようでは、上手いとは言えず、
拍手を与えてしまっているところを練習するという。
終わった後に良い物語だ、とゆっくり感動を与えるのが名人で、
じわじわという言葉から「じわがくる」というのが理想だとも言っている、


まさにその通りの感想で、人形、三味線は今後しばらく心配はないと思われるが、
果たして、住大夫さんに続く大夫はいるだろうか、
だからこそ住大夫さんは頑張り続けてられるのかもしれない。


そしてその大きな問題の答えは今回の3部大物浦の成功如何に懸っている。